2018年08月28日 / トレンド

シンギュラリティ否定論|IT業界人のためのすぐそこの未来学【第2回】

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シンギュラリティ否定論|IT業界人のためのすぐそこの未来学【第2回】

シンギュラリティはホントに実現するのかという議論も活発にされている。

シンギュラリティは実現すると断言し根強くそれを確信している人も多い一方で、これは単なるフィクション、SF話あるいは中世錬金術の類と否定的見解の有識者も多い(いや、こちらのほうが多数派か)。

シンギュラリティをめぐる議論をややこしくしている理由のひとつは「本家」カーツワイルの主張が極めて壮大で、世界観どころか宇宙史観からも語れており日常あるいはビジネスの感覚とあまりにかけはなれていることにある。

「シンギュラリティとはわれわれ生物としての思考と存在が自らの作り出したテクノロジーと融合する臨界点であり、その世界は依然として人間的であっても生物としての基盤を超越している」(「シンギュラリティは近い」から)、生物としての基盤を超えるってどういうことだ?!。

さらに「シンギュラリティの到来後、人間の脳という生物学的な起源をもつ知能と人間が発明したテクノロジーという起源をもつ知能が宇宙の中にある物質とエネルギーに飽和するようになる」(同)、なんのこっちゃ。

さらにシンギュラリティと宇宙が「最終的に迎える運命」として、宇宙のものいわぬ物質とメカニズムこのうえなくすばらしい知能体に変容するとまで言い切っている。

ここまでになるとシンギュラリティはもはや技術予測とかの世界ではなく哲学あるいは信じるか信じないかという宗教観に近い。そういえば日本の誇る名経営者稲盛和夫氏もよくビッグバン以来の宇宙の帰結として人間の意志や心があるので宇宙の法則へのリスペクトが大事だというようなことを折に触れておっしゃっていることを思いおこされる。

シンギュラリティ否定論はほかにもさまざまな切り口で語られる。ひとつは、人工知能といってもしょせんデータと統計処理をベースにした世界のはなし。生命体固有の生存意思や意識を持つのは人間だけという条件を超えるものではないという主張。いくら人工知能のテクノロジーが発達しても機械が「知能」ではなく「意思」や「意識」をもつようになるのか。

これは調べてみてびっくり、人工知能や機械学習とはまたことなるアプローチで着々と「人工意識」の研究も着々と進んでいた。これにより人工知能がやる気をもったり、自らの意思で関心空間をひろげて自分でどんどん調べていくようになるというからわくわくする。

今の時点でシンギュラリティの実現を信じる信じないの結論出すのは難しいだろう。しかしカーツワイルのような知性がGoogleのリアルビジネスや開発の現場でリーダーシップを発揮しているのはまぎれもない事実。GAFAと呼ばれる一群の残りの3社Apple、Amazon、そしてFacebookも莫大な(1千億円単位)の投資をこの分野と関連事業にしている。

私はそろそろ「宇宙の意思として生命体と一体化し知能が現れる」というシンギュラリティの考えを前提にして世界を見てもいいのではと思い始めている。これって一種の入信?

WRITER

シリコンバレー急行

株式会社システムシェアードシニアマネジャー。大手顧客向けビジネス開発プログラムなどを担当。IT業界で長年営業、マーケティングなどを経験。

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